トランプ米大統領の買収発言でにわかに脚光を浴びたデンマークのグリーンランド。1946年にも当時のトルーマン大統領が購入を持ちかけた

▼日本との関わりで思い出されるのは冒険家の故植村直己さん。78年に史上初めてグリーンランドの犬ぞり単独縦断の快挙を成し遂げた。同国政府は功績をたたえ同島南端の到達点の岩峰にウエムラの名を冠した

▼住民はカラーリット(イヌイット)が大半を占め、自治権を79年に獲得した。輸出はほとんどが水産物。対日輸出が全体の1割と日本は重要な貿易相手国になっている

▼北極周辺は近年、結氷海域の減少が著しい。地球温暖化の影響とされ資源開発や航路開拓などに周辺国が関心を寄せている。日本の6倍の面積を持つ世界最大の島グリーンランド。その8割を覆う平均2千メートルの厚さの氷床も加速度的に解けているという

▼それに伴い、石油、天然ガスに加え多様な鉱物資源が採掘可能になるという将来性に注目が集まる。温暖化防止の枠組み「パリ協定」から離脱を表明した政権が買収を言い出すとはなりふり構わぬ経済第一、アメリカ・ファーストを象徴する話でもある

▼植民地支配から抜け出して自治権を獲得した歴史を歩み、自然環境激変の結果とはいえ、経済的飛躍が見えてきた島民たちが「ばかげた話」と感じるのも無理はない。