参院選でれいわ新選組から初当選し、臨時国会に臨んだ舩後靖彦、木村英子両議員。重い身体障害がある2人が大型の車いすで議場に入り、採決では起立する代わりに介助者が手を挙げた。

 こうした国会の光景を「ついにここまで来た」と感慨深く受け止める本県の重度障害者たち。一方、2人が利用する重度訪問介護の公費負担をめぐり、ネットを中心に「税金泥棒」などと激しいバッシングがわき起こっている。

 重度訪問介護は、障害者総合支援法に基づくサービス。重度の身体障害者らを対象に入浴や食事、外出時などを24時間態勢で支援する。自己負担は最大1割で、全国1万人超が利用している。

 論議になっているのは「通勤、経済活動にかかる支援」は対象外という制度の運用ルール。議員活動は経済活動と見なされる。かねて、このルールが重度障害者の就労を阻害していると問題視されてきたが、国会議員の誕生で一躍注目されることになった。

 参院は議員活動中の介助費用を当面負担すると決めたが、れいわ側は制度そのものの見直しを要請。根本匠厚生労働相は、見直しについて議論する考えを表明した。

 今の枠組みでは事実上、介助費用を負担できる余裕がある企業しか重度障害者を雇えないことになる。どんなに障害が重くても社会で活躍したいという願いを実現するため、前向きな議論を望む。

 この制度など重度障害者施策推進の原動力になってきたのが、障害当事者運動だ。1970年代、障害者たちは「当たり前」の生活の実現に向け支援制度改善を訴えるとともに、無報酬の支援者の介助を得て、自らアパートなどで1人暮らしを始めた。

 ボランティア不足などで十分な支援が受けられず、体力を落として亡くなる人も少なくなかったという。それでも、粘り強く運動を続け、少しずつ公的支援が拡大してきた。まさに「命を削って作ってきた制度」だ。

 重度訪問介護を利用してアパートなどで暮らす障害者と介助者。そこには、配慮と心遣いに満ちたコミュニケーションがある。障害の有無、個性や考え方の違いを超え、「人と人」として互いを尊重する姿勢が、「当たり前の日常」を成り立たせている。

 このような光景が、制度の拡充で職場などに広がり、社会全体で当たり前の光景になってほしい。身近に接する機会が増えれば、障害者に対する極端な偏見の払拭(ふっしょく)につながるだろう。異なる立場同士がどのように相互理解していくかについて、障害者と介助者の関係性から学ぶことができるという意味でも、社会のメリットは大きい。