おとぎ話に胸をときめかせたのは遠い昔。困難にめげず朗らかにしていれば、王子様がやって来る。そんなストーリーはファンタジーの世界と思いきや、現実に見るかのような感覚だった

▼トロフィーを手に満面の笑みを見せる彼女は、まさしく現代版シンデレラ。ゴルフの全英女子オープンを制した渋野日向子選手は、プロになって1年の新星。日本勢42年ぶりのメジャー優勝にフィーバーが続く

▼グリーン上の姿が実にチャーミングだ。観客とのハイタッチ、プレーの合間には好きな駄菓子。優勝賞金の使い道を問われると「一生分のお菓子を買いたい」と屈託がない。どのシーンも真っ白な歯がこぼれる

▼同じ学年に実力者がそろう「黄金世代」の一人。帰国後の記者会見では東京五輪と金メダルへの意欲を口にした。攻めのプレーと自然体が魅力の20歳は、海外メディアに「スマイリングシンデレラ」と呼ばれる

▼そういえば、物語に登場するプリンセスも決して救いの手を待つばかりではない。運命に翻弄(ほんろう)されながらも時に決断し、果敢に立ち向かう。公開中のヒット映画「アラジン」も、強くて陽気な女性像が描かれる

▼人生の選択権は自分で手にする。思いがけず栄冠を勝ち取った渋野選手からも、強い意志がのぞく。プロゴルファーとしての物語は始まったばかり。続編が楽しみだ。