議論に上がっている球数制限のように高校野球の「当たり前」が見直され始めている。2年連続出場の花巻東は昨夏の甲子園終了後から始めた「脱丸刈り」で今大会に臨む。佐々木洋監督は「野球人口減少の対策ではない。野球を見つめ直す時期にきている」と語る。

 2列に並んで足並みをそろえて走る。水を飲んではいけない。高校野球は他の競技より伝統と経験で引き継がれる事項が多い。目的や理由を考える前にチームの歴史を尊重してきた。

 ただ、野球界の常識が一般やスポーツ科学では非常識な部分もあると佐々木監督は考える。「声出しやトスバッティングなど昔から行われている練習の必要性。丸刈りだけでなく全てをフラットに考えたかった」

 2列走法でチームの一体感をつくるなら継続すればいいし、その他の方法で一体感を増せるならやらなくていいというように、選手には練習や私生活の行動に対し、目的と目標、意義と意味を考えるように伝えている。

 その時に丸刈りの意義と意味を何も感じられなくなってしまったという。指揮官は「今や中学でも丸刈りは減り、大学やプロはほとんどいない。他の競技なら体罰になりかねない」と時代の流れに沿っていない「当たり前の恐怖」を強調した。

 取り組みを始めてから約1年がたち、佐々木監督は選手が大人に見えるようになったという。もちろん生徒を教育する意識もある。指導にも変化が生じ、選手の考えを発言させる機会が以前より増えた。

 「昔は走者を犠打で進めることが主流だったが今は違う。野球が進化する中で指導者も変わらないといけない」と佐々木監督。野球以外にも通じる部分はあり、現代の「当たり前」の意味を再考するきっかけになりそうだ。