日本と韓国の関係悪化は、もはや感情的な対立に陥っている印象がある。まるで戦闘宣言のような韓国側の反応は常軌を逸している。日本側も参院選前の外相会談で、相手の発言を遮って「無礼」と声を張り上げた外相の対応は褒められたものではない。

 県内外で、市民レベルの交流に影響が出ている。政府間のあつれきが国民生活を不穏にする現状を看過するのは、指導者の資質にかかわる。

 日本政府は、安全保障上の輸出管理で優遇措置が適用される「ホワイト国(優遇対象国)」から韓国を除外する。韓国側は、日韓による軍事技術や戦術データなどの防衛情報の共有を定めた軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を示唆している。

 この間にも、北朝鮮は短距離の飛翔体の発射実験を繰り返している。日韓の反目は、東アジアの不安定化を助長する。それが分からぬ両政府、両首脳ではあるまい。

 そもそも優遇対象国からの除外は、日韓双方の企業に輸出管理の徹底を促すものだ。要は日本が韓国を同対象国に指定した2004年より前の状態に戻すということだ。

 対象国との間では、厳格に手続きされているかどうかを確認するため不断の意見交換が不可欠だが、韓国はここ数年、日本との協議に応じていなかった。安全保障上の観点から、今回の措置には相応の理由があることを韓国側は直視しなければならない。

 適用除外によって、日韓双方で官民の手続きは煩雑になるにせよ、それをして「自由貿易の脅威」とする韓国政府の反応は冷静さを欠く。やっかいなのは、この措置が、韓国側が「明白な経済報復」と言い立てるに足るタイミングで行われていることだ。

 韓国では従軍慰安婦問題で15年の日韓合意に基づき設立された「和解・癒やし財団」も最近、正式解散。安倍晋三首相は参院選前のテレビの討論番組で「国際約束を守れない国が、貿易管理でも守れないだろうと思うのは当然」などと発言している。

 1965年の日韓請求権協定により、元徴用工問題は解決済みとする日本の主張に理はあるにせよ、目下の対立が国際社会に報復合戦と映れば決して印象はよくない。

 韓国は来年4月に総選挙を控え、同国内のナショナリズムを刺激する現状が、文在寅(ムンジェイン)大統領の政治的立場を助けているとの観測もある。一方で安倍政権の対応も、支持基盤とする保守層を強く意識しているのは想像に難くない。

 両首脳が、それぞれに引けない事情を抱える中で、具体的措置を急がず冷却期間を置くのも一案。両国の間に、それぐらいの外交的知略はあるものと信じたい。