韓国の機張で今日30日に開幕する野球のU18ワールドカップ(W杯)に臨む大船渡の佐々木朗希投手ら高校日本代表は、日本高野連事務局の判断で日の丸のロゴが入らない無地のポロシャツを着て現地入りした。

 岩手大は、奥州市で行った韓国の大学生との交流事業の取材自粛を報道各社に要請した。学生らは直接は知らされず、担当教員の判断という。

 いずれも険悪化する日本と韓国の関係が背景だ。「未来志向」を掲げてきたはずの両国関係が、政府間のあつれきによって相互理解促進の主役であるべき若い世代の心象に影を落としているとすれば、もはや両政府の主張の是非を超越する政治の重い責任だ。

 日本は、安全保障上の輸出管理で優遇措置を取る「ホワイト国(優遇対象国)」から韓国を除外した。対抗措置として既に日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めている韓国は、世界貿易機関(WTO)に提訴する方針を表明するなど一段と反発を強めている。

 事ここに至る発端には、韓国最高裁で日本企業に損害賠償の支払いを命じる判決が確定した元徴用工訴訟問題がある。日本政府は1965年の日韓請求権協定に基づき仲裁委員会開催を求めたが、韓国政府は音無しの構え。日本側が7月、軍事転用も可能な半導体材料の韓国向け輸出管理の厳格化を打ち出して以後、対立は深刻の度を深めた。

 元徴用工への賠償問題は、国同士の約束があるとする日本側の主張に一定の理があるだろう。韓国側は、輸出管理の厳格化は元徴用工問題への報復と批判。日本側が一貫して別問題としているのも、建前としてうなずける。

 一方で、建前を貫くなら歩み寄りの余地もあるはずだ。

 GSOMIAは北朝鮮の脅威に対し、日韓の同盟国である米国を介さずに両国が情報を共有する仕組み。むしろ韓国側の利益が大きいとされ、その廃棄は「韓国の防衛を複雑にし、米軍にとってのリスクを高める」と、米国務省も東アジア情勢の不安定化へ警鐘を鳴らす。

 廃棄には韓国世論はもとより同政府内にも懸念があるようだ。協定が正式に終了する11月下旬までの間に「日本政府が不当な措置を元に戻し、わが国は協定の終了を再検討することができると思う」と李洛淵(イナギョン)首相が口にするのは、その証左。文在寅(ムンジェイン)大統領施政下の政権の「建前」を、なかなか崩せずにいる雰囲気もうかがわせる。

 相互に対抗意識が目的化して大所高所を見失っているとすれば危機的だ。元徴用工の関係は「別問題」として、相手が変われないなら率先して変わるのも知恵ではないか。