投票所の数が減り続けている。先月の参院選は、3年前の前回より全国で858カ所少なくなった。

 岩手の投票所数は1033カ所で、やはり前回より54カ所減った。減少が50カ所以上に達したのは他に北海道、青森、岐阜、鹿児島の4道県だけで、地方に目立つ。

 9年前の参院選と比べると、岩手の減少幅は100カ所を超える。急速な人口減により、山間地などにある投票所の再編が進むためだが、それだけではない。

 市町村合併で職員が減り、投票所への人の配置が難しくなった。人口減が進む地域では、投票所ごとに必要な立会人の確保も厳しい。

 再編はやむを得ない事情としても、高齢者らの投票機会が奪われる可能性は高まる。特に車を持たない人は、遠く離れてしまった投票所に行くのも一苦労だろう。

 今回の参院選で、全国の投票率は48・80%と過去2番目に低かった。若者の関心の低さだけでなく、投票所の減少が高齢者の棄権を招いているとの見方もある。

 3年前の前回、岩手の80歳以上の投票率は40%台で、70代に比べ30ポイントも落ちた。棄権の理由はさまざまだろうが、投票所への足がないことも一因に考えられる。

 選挙への投票は、言うまでもなく民主主義を実践することだ。住む地域によって、それができなくなることがあってはならない。

 一関市では一昨年、122の投票所が69カ所に再編された。投票所まで遠くなった有権者のために、市選管は今回の参院選でさまざまな試みを行っている。

 その一つが、県内で初めての移動期日前投票所だった。投票所までの距離が4キロ以上になった地域を対象に、市職員らが3日間、投票箱を携えて巡回した。

 もう一つが投票所への移動の後押しだ。高齢者や障害者向けに期日前投票所まで無料送迎したり、全ての有権者に対してバス・タクシーの乗車券を配っている。

 投票所そのものが移動する。逆に人の移動を支える。いずれも投票箱が有権者に近づく取り組みで、同時に行ったことは意義がある。今回得られた課題を精査して次につなげてもらいたい。

 寝たきりなどで投票所に行けない人のために郵便投票制度もあるものの、対象者は限られる。政府は将来的なインターネット投票を検討しているが、本人確認など実現には課題が少なくない。

 投票所減少の対策としては、今のところ自治体による取り組みが重要だ。これ以上棄権を増やさぬためにも、投票箱が有権者に「近づく・近づける」工夫を求めたい。