盛岡市南仙北の設計事務所「カタライズデザイン」(山下桂樹代表)が同市と北上市で運営する間借り本屋「書肆(しょし)みず盛り」が話題だ。レコード店などの一角を借り、設計士の山下さん(40)が独自の視点で選書した本を販売。ジャンルは実用書や写真集、郷土本など多様で、大手の書店にないようなマイナー本にこだわる。ネット販売に押されて町の書店が元気を失う中、本との新しい出合いの場として注目される。

 間借り本屋は昨年夏に開店。「書肆」は本屋、「みず盛り」は建築現場で高さを測る道具を指す。山下さんは店名について「本は知らなかったことを教えてくれる。自分と他人の感覚の違いも測れる」と語る。

 住宅建築の希望者ら向けに茶話会を開いてきた山下さん。しかし参加者が限られるなど継続の難しさを感じていた。顧客の間口を広げたいと悩んだ時、本を生かして自分の考え方を発信することを思い立った。

 現在は盛岡、北上両市で計3カ所に開設。店舗に専用の棚を設置し、20種類ほどの新品本を販売する。主に都内の卸会社を通じて、内容は興味深いのに小出版社で販路が乏しい本などを選んで仕入れ。山下さんの感想文をはさみ、本が売れると店側に販売手数料(定価の1割)を支払う契約だ。

 スペースを貸す盛岡市大通のレコード店「ディスクノートもりおか」(モスビル内)の小原正史代表(47)は「『中島みゆき全歌集』など他では置いていないような本もあり、結構売れている。さらに個性のある〝ハコ(本箱)〟にしてほしい」と期待する。