障害者スポーツの祭典・東京パラリンピック開幕まで、25日で1年。パラ史上最大規模の約4400人の参加が見込まれ、車いすラグビー、視覚障害のゴールボールなど22競技540種目で熱戦を繰り広げる。

 日本選手の強化も着々と進む。県勢では、東京大会出場を目指す洋野町の大井利江さんが、11月にドバイで開かれる世界パラ陸上競技選手権大会の男子砲丸投げに出場する。70歳の大井さんは「入賞して出場を勝ち取りたい」と意欲。アテネ大会円盤投げ銀メダリストの「鉄人」の活躍を期待したい。

 目標は共生社会の実現。東京ではホテルの一般客室のバリアフリー化など受け入れ準備が急ピッチで進む。

 2016年の全国障害者スポーツ大会「希望郷いわて大会」の感動を思い起こしたい。東京大会がさらなる感動を生み、共生の確かな一歩になることを願う。

 ただ、障害者自身の受け止めは一様ではない。共同通信が全国の当事者を対象にしたアンケートでは、「大会が障害の理解につながる」と前向きに捉える人が6割を超えた一方、4割弱は懐疑的な見方だ。東京大会開催が決まった13年以降に「障害理解が進んだ経験、実感があるか」との問いに対しても、「なし」が6割以上を占めた。

 この間、相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害される事件が発生。中央省庁が長らく障害者雇用を水増ししていた問題も発覚。偏見や差別は根深く、大会で一気に変わるとは考えられない。

 大舞台での活躍が脚光を浴びる障害者アスリートと、社会との接点を持てないまま変わらぬ日常を送る障害者。二極化の進行が懸念される。

 象徴的な出来事が昨年、東京都が制作したポスター問題。パラバドミントン選手を起用し、「障がいは言い訳に過ぎない。負けたら、自分が弱いだけ。」との言葉が添えられていたが、ネット上で「頑張れない障害者はどうなるのか」など批判が続出。都は撤去に追い込まれた。

 もとより、パラリンピック選手の対象障害は肢体不自由が中心。「蚊帳の外」と感じている精神、重度障害者は多いだろう。大会を機に、競技性を追求せず楽しむスポーツも普及させることで、社会参加を促したい。

 希望郷いわて大会では、障害者アートの展示が選手を出迎えた。芸術活動に光を当てる展示会も関心を集めた。

 スポーツに限らず、さまざまな機会に障害者が活躍する場面を増やしたい。一人一人の個性への気づきが、画一的な障害者像を打ち破り、共生への道を開く。