釜石市鵜住居(うのすまい)町の鵜住居復興スタジアムで行われるラグビーワールドカップ(W杯)フィジー対ウルグアイ戦まで25日であと1カ月。急ピッチで準備が進む中、札幌市でスポーツバーを営む男性店主(46)が、北海道新聞社(同市)の特報班に「『W杯歓迎』と掲げちゃダメって、変でない?」と声を寄せた。W杯を盛り上げたいのに大会名などの使用に制約が多い。なぜ、せっかくの開催に水を差すのか。

 神経質になるのは、多額の資金を拠出するスポンサーの権利を保護するため、不正便乗商法(アンブッシュ・マーケティング)を禁止するルールがあるからだ。大会名やロゴは会場周辺の飲食店にしろ、大会盛り上げのためのイベントにしろ、無断使用できない。

 W杯を主催するラグビーワールドカップリミテッドは、大会ロゴやマスコット、優勝杯など21件を日本で商標登録しており、侵害すると商標法違反などに問われる恐れがある。

 では、どう歓迎すればいいのか。実は、大会組織委内部でも微妙に見解が割れる。

 法務部は「W杯を関連づけたり、想起させたりする広告・営業活動は該当する」と説明。一方で「W杯に触れず『ラグビーファン』や『オーストラリア人』と掲げたり、ラグビージャージーを着たりして歓迎することはできる」(三谷秀史(ひでし)事務総長特別補佐)との説明もあり、「大会が盛り上がればスポンサーの利益にもなる」(別の幹部)との声も聞かれる。

(北海道新聞社提供)


 釜石市は「独自ロゴ」

釜石ラグビーのロゴを使ったさまざまなグッズが並ぶ釜石情報交流センター=釜石市大町

 東日本大震災の被災地で唯一2試合を行う釜石市では、使用に厳しい制限があるW杯の大会名やロゴを使わずにラグビーのまちをPRできるよう、独自に「釜石ラグビー」のロゴを考案した。

 同市大町の釜石情報交流センターには、タオルや帽子、カードケースなど多様な商品がW杯ロゴ入りのTシャツなどとともに並び、大会の機運醸成に一役買っている。

 オリジナルグッズを手掛ける釜石まちづくり株式会社の下村達志事業部長は「釜石のロゴを使うことは、W杯終了後も見据えた『ラグビーのまち』としての取り組みにつながる」とした上で、「(制約)のルールは分かるが、草の根的な活動を進める上で許容範囲が広がればより盛り上がるのでは」と率直に語る。

 市によると、W杯の大会ロゴ発表後、使用に関する問い合わせが複数あった。試合会場がある同市鵜住居(うのすまい)町の鵜住居商店会(野村周司会長)は「W杯を成功させよう」と記したのぼりの制作を企画したが、大会名の使用制約で作れなかった。