保管されたままになっているビデオテープを目にすると考える。捨てるべきか、もう少し持っておくべきかと。映画作品なら別の方法で鑑賞できるから廃棄は容易なのだが、家族の記録は悩ましい

▼テープの再生機はもう家にはない。専門業者に頼めば別の記憶媒体に内容を複製することは可能だが、そこまですべきかどうか。同様の悩みはレコードにも。復活したプレーヤーを買えば聴くことはできるのだが…

▼再生を媒介する機器がないと見たり聴いたりできないのは、技術の進歩ゆえ、やむを得ない面がある。一方、記録が「モノ」として完成しているプリント写真は、その点強い。丁寧に保管すれば長い年月に耐える

▼「平民宰相」原敬が写った写真が多数、盛岡市内の民家から見つかった。未公開とみられる写真も少なからずあるという。鮮明な写真がそろっている。列車に乗って写された柔和な表情からは人柄がしのばれる

▼昨年、原が改めて注目された。その150年前の戊辰戦争で賊軍の汚名を着せられた盛岡藩の無念を胸に政界入りし、100年前に藩閥政治を打ち破って念願の政党内閣を実現。そんな政治姿勢が語られた

▼2年後に没後100年となる原。今回見つかった写真の数々は足跡を刻印する貴重な資料となる。写真の力。他にも何かがどこかに眠っていないだろうか。