東京や大阪・京都など有名観光ルートから、東北、山陰など地方へと外国人旅行者の足が向かっている。今年上半期の訪日外国人客(インバウンド)は、推計1663万人で過去最多となった。だが、その伸びは鈍化傾向にあり、冷え込む日韓関係による影響も懸念されている。

 それでも、開幕間近のラグビーワールドカップ(W杯)を皮切りに、2020年東京五輪、21年には関西で生涯スポーツの祭典・ワールドマスターズゲームズが開催される。大型スポーツイベントが続く「奇跡の3年間」とも呼ばれ、誘客に期待が膨らむ。

 ビジネスチャンスに結びつけようと、本県の観光関係者も受け入れ態勢を強化している。全体の数そのものは少ないが、県内の外国人宿泊者や免税店数は国内上位の増加率。地道な取り組みが徐々に形となって現れている。

 県によると、昨年1年間に県内に宿泊した外国人客は延べ25万9千人。震災前の10年と比べて3倍近い。宿泊や飲食、買い物など地域での消費は79億円に上り、こちらも倍増。県全体の観光消費額に占める外国人の割合は約5%で「伸びしろが大きい」と関係者は意気込む。

 人口減で多くの市場がしぼむ中、インバウンドの経済効果が注目される。日本人1人当たりの年間消費額125万円は、外国人客8人分の支出に相当。伸び悩む国内需要を補い、押し上げる存在だ。

 しかし、受け入れに手探りの状況も続く。ある温泉施設関係者は「外国語を話せるスタッフも限られ、ジェスチャーを交えながらのコミュニケーションだ。言葉の問題はやはり大きい」と明かす。

 多言語への対応をはじめ、無料の公衆無線LAN「Wi-Fi」整備、クレジットカードやスマホ決済によるキャッシュレス化など課題が浮かぶ。ベジタリアンや宗教に沿った食事提供も考慮しなければならない。小規模の店や事業所ほど負担感は大きい。

 全国でインバウンドビジネスのコンサルティングを行う村山慶輔さん(東京)は「地方への需要は確実にある。ただ、見せ方、売り方を含めた発信の工夫が大事。PR下手は返上したい」と指摘する。

 国によって訪れるシーズンや滞在日数、消費傾向に違いがある。ターゲットを見極めた商品づくりや、会員制交流サイト(SNS)を活用した効果的なアプローチが求められよう。「来てくれれば良さは分かる」では物足りない。積極的にモノ、コトを消費してもらう戦略が急がれる。

 釜石のW杯開催で、世界中のラグビーファンがもうすぐ県内にやって来る。おもてなしの成功も失敗も、次に生かす好機にしたい。