4月から、先輩記者と共に金ケ崎町を担当している。町の産業を学ぼうと6月、県南有数の酪農地帯の同町和光地区で酪農を体験した。

 ホルスタイン100頭余りを育てる倉田和弘さん(66)方の牛舎で餌やりやふんの掃除、乳搾りなどを手伝わせてもらった。

 ハードな仕事だが、世話する牛の生命を肌で感じられるからか、想像以上の充実感があった。「動物相手だから盆も正月もない。でもやればやるだけ牛は応えてくれる」。堆肥の臭いすら手応えのように感じながら、倉田さんの言葉に深くうなずいた。

 その体験記事を先日、教育に新聞を生かすNIEを実践する小学校の教材に使っていただいた。以前取材で世話になった先生が目に留めてくれた。

 読み手を意識して書くべきなのはどの記事も一緒だが、自分が書いた記事が児童にじっくり読まれると思うと緊張した。少しでも学びの役に立てたことを願うばかりだ。

 記者の仕事は必ずしも、酪農のように「やればやるだけ応えてくれる」わけではない。誰のために何をしているのか、見えづらくなるときもある。

 だからこそ、今回のように「他の誰かに読ませたい」と読者に思ってもらえたことはとてもうれしい。そんな記事をまた、1本でも書けたらいいと思う。

(奥州支局・大森葉月)