お盆に親戚宅を訪問した。兼業農家で新鮮な食べ物をいただくのが楽しみの一つだ。トウモロコシも出されたので、てっきり自家製と思ったのだが、買ってきたものだという。どうして?と尋ねると「カラスにやられた」と嘆いた

▼この夏は知人宅で別のトウモロコシ被害も聞いた。こちらの「犯人」はタヌキらしい。食い荒らされたのはスイートコーン。ただ、子どもの菓子作り用に育てるポップコーンは無事。硬い皮が避けられたようだ

▼どの栽培作物がおいしいか動物は知っている。トウモロコシは代表格ではないか。札幌では住宅街の家庭菜園でヒグマが食い尽くす姿が映された。本県でも時折、ツキノワグマが畑に現れるニュースを耳にする

▼9千年の歴史を持つこの穀物は、アメリカ大陸の先住民が栽培を続ける中で品種が分化。大航海時代にヨーロッパに持ち運ばれるなどして範囲が広がった。コメ、小麦と並ぶ世界三大作物。今は飼料用が中心だ

▼日本には16世紀に伝来。明治時代になって北海道などで本格的な栽培が始まり、庶民の生活にも浸透した。石川啄木は札幌の印象を「しんとして幅広き街の/秋の夜の/玉蜀黍(とうもろこし)の焼くるにほひよ」と詠んでいる

▼愛され続けるトウモロコシ。ただ、そのおいしさを知る動物からどう守るか。環境対策を含め、知恵が試されているようだ。