国は今後、東日本大震災被災地にどう関わり続けるのか。与党は今月、2020年度までの「復興・創生期間」後の支援のあり方について安倍晋三首相に提言。21年3月末が設置期限の復興庁について、21年度以降も現体制のまま存続させるよう求めた。

 政府は提言を踏まえ、21年度以降の被災地支援策について検討を本格化させ、今年末までに基本方針としてまとめる。来年の通常国会で、設置期限の延長期間を盛り込んだ法整備を目指す。

 とりわけ原発事故の影響が深刻な福島県浜通り。今月、01年の米中枢同時テロ遺族らでつくる「9・11家族会」が南相馬市を訪問。心のケア活動に取り組む地元NPO法人の主催で、災害公営住宅団地の集会所で住民との交流会が開かれた。

 「大蛇巻き」と称した長いのり巻きを、みんなで作る。「英語で何て言うんだろう」「ビッグ・スネーク・ロールでいいのかな」。のり巻きを一緒に食べ、スイカ割りに挑戦。言葉が通じなくても何とかなる。家族会は12年から継続的に被災地を訪問しており、「交流を重ねるたび、住民の笑顔が戻ってきているように感じる」とメンバーも笑顔を浮かべた。

 福島は原発事故の廃炉・汚染水対策が正念場を迎え、住民の帰還促進に向けた環境整備や心のケアが大きな課題。インフラ整備が大詰めを迎える本県被災地も、高齢化が進む被災者の心身ケア、生活再建のサポートがまだまだ必要。心通うコミュニティーづくりにも長い時間がかかる。

 復興庁が存続する方向となったことは、それ自体が、孤立がちな被災者の「見捨てられ感」を解消するメッセージと言えよう。

 被災地を忘れず、関わり続ける。9・11家族会が体現しているような姿勢で、長期的に被災地を支え続けてほしい。

 復興庁の後継組織をめぐっては、全国知事会が南海トラフ巨大地震など大規模災害に備え、事前対策から復興までを担う「防災省」創設を求めた経緯がある。実際、津波災害特別警戒区域の指定などは進んでいない。避難所や仮設住宅の環境改善なども道半ばだ。これまでの議論を尻すぼみにせず、震災の教訓を生かす機能強化が求められる。

 自治体からは、財源面がどうなるかなど懸念もある。現場の声を踏まえ、十分な支援策を講じてほしい。

 陸前高田市に来月、津波の教訓を伝える伝承館がオープンする。9・11の経験者が東日本の被災者の心を支え続けているように、3・11の経験をどう国内外に幅広く発信し生かしていくか。復興庁が果たすべき役割は大きい。