お盆の墓参り。「熱中症になるといけないから、いっぱい掛けてあげる」と、少女が清めの水をせっせとすくう。傍らで見守るのは、親と祖父母か。日が高くなる前、静かに手を合わせた

▼先祖供養、そして、穏やかな世であるようにとの祈り。きょう15日は、戦後74年の終戦記念日だ。昭和から平成、令和へ。時の流れに誰もあらがうことはできない。遠ざかる記憶。戦争を知る世代が減っていく

▼広島、長崎の原爆忌が続くこの時期、本紙「声」欄で戦後特集を組んでいる。高齢者を中心に多くの投稿が寄せられ、それぞれの苦難の歴史を文章に刻む。危機感だろう。「伝えなければ」と、覚悟すら感じる

▼前線に赴きながら、間一髪で撃沈を免れた人。万歳をして見送った親や兄弟が、帰って来なかった人。食うや食わずの時代を生き抜いた、市井の人々の言葉が胸を突く

▼若い世代からもメッセージが届く。授業をきっかけに学んだという中学生。今ある自分と家族の平凡な暮らしが、当たり前ではないと気付いたという。思いを受け継いでいきたいと語る姿は、希望の光となろう

▼共に過ごした青春があれば、再会も懐かしい。県内の9市町村では、夏の成人式が行われる。自覚を促す一歩は、震災の風化と闘う力にもなる。過去と未来。その間の日々が平和であるように、願い続けたい。