東北から九州まで全国21府県で広域開催される来年の全国高校総合体育大会(インターハイ)は、来年8月の開幕まで1年を切った。本来は北関東4県が開催地だった大会は東京五輪・パラリンピックの影響で宿泊施設の確保が困難となり、紆余(うよ)曲折の末、4月に入って全30競技の開催地が確定した。

 本県では卓球(奥州市)、ハンドボール(花巻市、盛岡市)、ボクシング(釜石市)を受け持つ。東日本大震災があった2011年の北東北インターハイでは、隣県の秋田に1競技の開催を引き受けてもらった経緯もある。開催地選びが難航した中、北関東を除くと最多の3競技を受け入れた県高体連や県教委、開催4市の決断を評価したい。

 ただ、東京五輪の余波は異例の分散開催にとどまりそうにない。ボクシングはブロック予選を導入して出場選手を大幅に削減し、167人とする方向だ。8階級のうち47都道府県ごとに代表1枠がある5階級は各階級25人、32人枠で実施してきた残り3階級は同14人に絞り込む。

 通常、リング2面を使い6日間かけて試合を消化するところを、来年は1面で会期も5日間。これでは例年の300人規模の出場は望めない。

 大会規模の縮小は主催する全国高体連も容認している。根底には経費不足がある。1競技平均約4千万円とされる開催経費の7~8割を開催地の都道府県、市町村が負担してきたが、来年は北関東4県以外の大半を全国高体連が肩代わりする。開催地を引き受けてもらった上、多額な負担までは求められなかった。

 ところが、経費確保のため設けた特別基金は目標額を大きく下回り、クラウドファンディングに乗りだすほど台所事情は厳しい。無い袖は振れないのが実情だ。

 このまま、東京五輪のしわ寄せが高校生の晴れ舞台に及んでいいのか。例年規模で開催するハンドボール、卓球の2競技と同一県内で「出場機会の格差」が生じることになる。折しも釜石市で来月開催されるラグビー・ワールドカップのキャッチコピーは「4年に一度じゃない。一生に一度だ」。それはまさに高校生アスリートに当てはまる。県勢は開催地枠で全階級出場が約束されているからこそ、他県勢にも思いを致したい。

 リングを2面に増やすことが問題解決の近道だ。しかし大幅な経費増加と会場変更は避けられない。既に走りだした準備計画を見直すのも難しい。それでも再考の余地はないのか、改めて問う。出場枠を定める実施要項が固まるのは11月。残された時間は少ない。岩手でのインターハイが一人でも多くの選手の胸に刻まれるよう知恵を絞りたい。