今となっては「戦争を知らない子供たち」を「知らない子供たち」も多いだろうか。終戦直後のベビーブームに生まれた「団塊の世代」のテーマソングとも言える昭和のフォークソングだ

▼「戦争が終わって/僕等(ら)は生まれた」で始まる歌詞を書いたのは、精神科医でありザ・フォーク・クルセダーズのメンバーとしても活躍したきたやまおさむさん。初演は1970年の大阪万博のステージだった

▼作曲は杉田二郎さんだが、きたやまさんは最初、ちょうど10年前に亡くなった盟友の加藤和彦さんの元に歌詞を持ち込んだという。加藤さんは歌詞を見て、「こんな軟弱なもの」と鼻で笑って取り合わなかった

▼三番の出だしは「青空が好きで/花びらが好きで」。戦争を体験している世代がたくさんいた頃だ。加藤さんの反応に、きたやまさん自身も「後ろめたい感じはある」と、何年か前のラジオ番組で口にしている

▼曲は、作曲した杉田さんが歌って大ヒットするが、案の定と言うべきか世間は好意的とばかりも言えず、むしろ「戦争にも行っていないくせに」「甘っちょろい」「戦死者への侮辱だ」といった声が耳に付いた

▼「戦争を知らない子供」が大半となった今、国会議員からでさえ戦争を扇動する発言が飛び出す。「戦後」が間違った方向に流れていないか。岐路に立つ予感もある。