「生きる力」へ新聞力

 教育に新聞をどのように生かせるかを考える「第24回NIE全国大会」(日本新聞協会主催、下野新聞社など主管)は1、2の両日、全国から教育や新聞の関係者ら計約1100人が参加して宇都宮市で開かれた。大会スローガンは「深い対話を育むNIE」。2020年度以降に実施される次期学習指導要領が「主体的・対話的で深い学び」を掲げたことを踏まえ、自ら学び、考えて行動する「生きる力」を育む教育へ向けた討論や発表が行われた。

 1日目は、「大村はま記念国語教育の会」事務局長の苅谷夏子さんが講演。戦後の教育現場で新聞の活用を積極的に行った教育者大村はまさん(1906~2005年)の業績を紹介した。

 苅谷さんは、大村さんが国語教育で行った実践例を説明。新聞を教材として使うときに、子どもの手に余るような記事を選ぶと、子どもは分かったふりをしたり、単純化して理解したりしてむしろ学びの邪魔になると大村さんが考えていたことを指摘した。苦しみや悲しみがあまりに深い記事は選ばないようにすることが重要とした。

 そして「社会が複雑になっている今こそ、この世界をなんとかつかもうとするために言葉の力が必要なのではないか」と話した。

 続いて、新聞のスクラップ作品コンクールに積極的に取り組んでいる栃木県大田原市の家族を交えてパネルディスカッションが行われた。高校2年の吹上二海さん(16)は、新聞を活用する利点について「文字の大きさ、写真の配置など工夫されていて、いろいろなニュースが目に入る。興味がないことにも目を向けるチャンスになる」と話した。

 文部科学省教育課程課の小栗英樹教科調査官は、次期学習指導要領について「対話を手掛かりとして、自分の考えを広げたり深めたりすることがポイントになる」とした上で、「子どもたちが体験を通して気付いていくことが大事だ」と強調した。

 2日目は、栃木県内の小中高校による、NIEを活用したさまざまな公開授業や実践発表が行われた。

 本県から参加した盛岡大文学部の上白石実教授(55)は「『多』『組織化』『日常化』というNIEの三つの方向性が見えた」と指摘。▽「多」は国語や社会から数学や美術など他教科への広がり▽「組織化」はリーダーを中心にチームを組み活用する動き▽「日常化」は朝学習15分間で取り組むNIEタイムなど帯時間の有効利用-と説明し、「NIEは確実に広がり、充実してきている」と可能性を再認識していた。

 来年の全国大会は、11月に東京都で開かれる。