玄関を開け中に入ると、そこには刑事や死刑宣告を受けているはずのない妻が。万事休す。アルフレッド・ヒチコック監督の映画「ダイヤルMを廻(まわ)せ!」は文字通り「鍵」が物語を動かすキーになる

▼「彼女は寝る前に散歩して、よく掛け忘れる」。映画の前半、知人に妻殺しを依頼する男が言う。侵入場所と見せかける窓の無施錠が、不自然でないことを説明するくだりだ

▼鍵の掛け忘れか、掛ける気がないのか-。県内は今年、空き巣など侵入窃盗被害のうち無施錠の割合が全国最悪の約9割に上る。「自分は、この地域は大丈夫」という過信が透ける。鍵掛けの習慣のない人が多いのだろう

▼侵入は、盗みが目的とは限らない。先日は愛知県の住宅で小学生の女児が何者かに殴られ、意識不明の重体で見つかる殺人未遂事件が起きた。捜査状況は分かっていないが、玄関は無施錠だったと伝えられている

▼再び映画の1シーン。夫は妻を殺させるため、知人に玄関の鍵の置き場所をあらかじめ伝えておく。後に刑事が鍵を見つけだし、真相へたどり着く。例えば誰かのために鍵を郵便受けや花の鉢に隠しておく。身に覚えのある人は少なくないだろう

▼盆の季節を迎えた。墓参りで地元に帰り、家を空けるケースが増える。鍵掛けはむろん、その管理も徹底したい。何かが起こってからでは遅い