県は国際リニアコライダー(ILC)の誘致実現を見据えて地域振興ビジョンを策定した。技術革新の拠点施設の整備や排熱を利用する再生可能エネルギーの仕組みの確立、外国人研究者の移住に対応するワンストップの支援窓口の整備などを盛り込んだ。日本政府が誘致を表明した場合、速やかに着手し、中長期で計画的に進める。

 取り組み内容は▽国際研究都市の形成支援▽イノベーション(技術革新)創出▽エコ社会の実現▽海外研究者の受け入れ環境整備▽交流人口拡大と科学技術教育水準向上-に分類。工程を準備(4年)、建設(9年)、運用(2~3年)の3期で設定した。

 最先端技術を駆使するILCは応用分野が幅広い。研究者や技術者、地元企業が連携して技術応用と産業集積を推進する「北上地域加速器関連産業イノベーションセンター」を計画。準備期で設計に着手し、建設期の運用開始を想定する。

 エネルギーの地産地消と持続可能なまちづくりのため「グリーンILC」を重視。冷却水の排熱を回収して一般家庭で利用するシステムを構築するほか、関連施設では再生可能エネルギーを活用して熱源を賄い、県産木材も積極利用する。

 ILC建設に伴い、近隣に住む外国人の研究者や工事・保守運用従事者らは20年間で計3千人規模と推計される。円滑な移住を支援するワンストップ窓口の国際支援オフィスを建設期に開設。教育面では、最先端技術や防災なども幅広く学べる「いわて型インターナショナルスクール」の検討も進める。

 ILCは宇宙創成の謎に迫る素粒子物理学の国際研究所。本県の北上山地(北上高地)が最有力の候補地とされ、日本政府が現在、誘致の可否を検討している。

 県は19日、各部局長で構成するILC推進本部(本部長・達増知事)を新設し、ビジョンの具体化に取りかかる。

 県ILC推進局の佐々木淳局長は「誘致に関わる国内外の動向を見極めながら、着実な事業化を図りたい」としている。