お盆を挟み、きょうから休みという人は多いだろう。帰省ラッシュが始まる。岩手の夏も暑く避暑気分を味わうことは難しいが、親しい人と過ごすひとときは一服の清涼剤となろう。温かく迎えてくれる故郷は、ありがたい存在だ

▼霊長類学者の山極寿一氏によると、ゴリラやチンパンジーは、いったん自分の集団を離れると同じ集団には二度と戻れない。しかし、人間の集団はいったん離れた仲間が帰って来たとき、温かく迎えることができる

▼そんな特質があるのはなぜか。広範囲で食物を探しながら遊動していく段階で獲得した-と推測する。食料調達のためにそれぞれが役割をこなして集合離散を繰り返し、その中で集団に柔軟性が備わった。帰ってくればそこでまた役割が与えられる

▼また、宗教学者の小原克博氏によると、人間は太古の昔から「死んで不在になった人、つまり死者が戻ってくるかもしれないという感覚」を持っていたという。両氏の対談本「人類の起源、宗教の誕生」に紹介されている

▼そのようなことを知ると、お盆がますます貴重に思えてくる。まさに離れていた仲間を迎え、先祖の霊を迎える期間。社会の根源を今に伝えているようでもある

▼帰ってきた人たちに安らぎをもたらしてくれるだろう古里。旧知の人との再会を楽しみながら、ゆっくりと過ごしたい。