野球審判員は「アンパイア」と呼ばれる。語源はフランス語に由来し、「裁定者、対象でない人」との意味。主に立つ位置が決められている競技に使われる

▼県野球協会によると、現在登録している審判員は700人。一時は1000人超だったが、この分野も人手不足が深刻。半数は50~60代。同協会事務局長の高橋勝利さんは45歳。「10年後はどうなるか…」と危機感を募らせる

▼高橋さんは審判を指導する立場の技術委員。高校野球の会場には責任審判員として必ず張り付かなければならない。3球場で行われる夏の大会は、高橋さんを含む9人の技術委員がローテーションで配置されている

▼職場の理解が前提とはいえ、平日は仕事優先。試合を欠席せざるを得ない日もある。洋野町役場に勤務する高橋さんもなかなか皆勤賞とはいかない。それでも「野球界への恩返しです」とかつての球児は自己犠牲をいとわない

▼審判員は「第三の主役」とも言われる。試合はおおむね2時間。うちボールが動いている時間は20分前後とされる。残る1時間40分を運営する主役はアンパイアだからだ

▼101回目となる夏の高校野球岩手大会は11日開幕する。「常日頃から脚力や動体視力を鍛えています」と高橋さん。1世紀の歴史を刻んだ陰には、「第三の主役」のたゆまぬ努力を忘れてはならない。