「遠野から世界へ」。最近、取材先でこのフレーズを耳にする機会が多い。その根底には、多様な視点を地域に還元したいという熱い思いが共通する。

 民間では、米国やアジア諸国に販路を広げる多田自然農場=青笹町=の多田克彦社長(64)の動きが際立つ。自己資金1千万円を投入し、地場飲食品の海外輸出を後押しするファンドを今月設立した。

 多田社長は常々「地方が生き残るには、地域ぐるみでのブランド育成が必要だ」と口にする。その熱意を形にする行動力に、地域経済再生の新たな可能性を感じさせてくれる。

 外国人材活用に向け昨年発足した地域産業パートナーシップ協同組合(多田一彦理事長)=宮守町=の動きも興味深い。人材育成と会員企業への送り出しを担う学校を6月、ネパールの首都カトマンズに開校した。

 「海外の優秀な人材と接することは若者の視野を広げる」と多田理事長(61)が思い描く、遠野とアジア諸国の人材循環モデルの具現化も注目だ。

 4日からは視覚障害者5人制サッカーブラジル選手団が、来年の東京パラリンピックに向け市内で合宿中。市民向けの交流機会も多く用意されている。多様性を知り、認め合う楽しさを伝えられるような取材を今後も心掛けたい。

(小野寺 隼矢)