消費税増税を控え、さらに年金制度がクローズアップされる中で繰り広げられる参院選。政権の経済政策「アベノミクス」や野党が掲げる政策の評価・点検などを基に、安心して暮らせる社会を考える機会にしたい。

 現役から引退後までを含めた暮らしを左右するのは雇用、賃金、貯蓄だ。働き方改革が始まり、賃金・雇用を巡る環境は変わりつつある。時代の流れを踏まえ、論じ合ってほしい。

 これまでの国政選挙に比べ、各党の公約で目立つのは最低賃金だ。政策の前面に出すなど、競い合うように目標額を示している。

 野党は共産と社民が「全国一律千円に引き上げ、1500円を目指す」を掲げるなどおしなべて高い。与党の自民は「全国加重平均千円を目指す」とする。

 現在の全国加重平均額は874円。最も低い県が761円で、本県などは762円であることを考えれば、相当な引き上げが必要になる。金額(時給)は、都道府県ごとに設けられた審議会の答申を基に決められる。

 賃金アップの重要性は論をまたない。ただ、一気の引き上げは企業経営を直撃しかねない。また、都道府県の金額差は地域の経済力を反映している。

 引き上げは、その水準で働く人に直接影響するほか、それよりも高い水準にある労働者に波及する。企業が継続的な賃金上昇を行うためには生産性向上が欠かせない。そのためには、中小企業の設備投資拡充などに対する公的支援も求められる。

 いかにすれば公約で掲げる目標額に向けていくことができるのか。各党は実現を図る具体的政策について意見を戦わせてほしい。

 「人生100年時代」には年金だけでは老後の資金を賄えず夫婦で2千万円の蓄えが必要になる-。国の審議会のそんな試算を発端にして、年金制度に厳しい目が向けられている。

 注目を集めるのは、背景に将来への強い不安があるからだ。年金制度そのものの問題だけではなく、現役時代に十分に蓄えられない現実を反映している。

 そのためにも賃金底上げが重要だ。中でも、雇用されて働く人の約4割を占める非正規労働者の待遇を改善し、正社員との格差解消を図ることが肝要だろう。

 人材不足が深刻で、本県も製造業などでの人材の奪い合いが顕著だ。これは賃金水準を高めている。ただ、地域によっては選べる職種、職場が少ない。働きがいを高めるために多様な産業を育成することが望まれる。本県選挙区を含め論戦に期待したい。