身の回りで今起きていることとともに、20年後の暮らしに想像力を働かせてみる。そして自らの地域、岩手、日本の行く道を考えたい。

 参院選がきょう公示される。7年の長期にわたる安倍政権の評価が最大の選択材料だ。経済をはじめ外交、憲法改正など論点は多い。

 今を託す政権を選ぶ衆院選と異なり、3年に1度の参院選は長い目で国や地域の在り方を考えられる。老後資金の問題が大きな争点となっており、この機に将来のことにも目を向けてみたい。

 高齢化が進む日本は、団塊の世代が75歳以上になる「2025年問題」が取りざたされてきた。だが、本当に考えるべきはその先、「2040」年といわれる。

 今から21年後、人口が多い団塊ジュニアが年を重ね、高齢者の数はピークに近づく。岩手の場合、国の推計によれば世帯主が65歳以上の家庭が半数を超える。

 このうち1人暮らしは35%に達すると見込まれる。未婚だったり、夫や妻に先立たれるなどして老後を一人で生きる人が増えていく。

 「2040」に想像される暮らしの姿だ。岩手には非正規で働く人、震災で生活再建が途上の人も多い。お金の面で、一人の老後が不安な人は少なくないだろう。

 一方、子どもの数は少なくなって社会保障を支える現役世代は激減する。今は現役2人で高齢者1人を支えるが、40年には1人を支える現役は1・5人に細る。

 元気に活躍する高齢者も増えるものの、活躍にはお金も必要だ。「2040」を暗い未来にしないために、今から手を打たねばならない。

 老後の暮らしが成り立つ支援、とりわけ現役世代を支える政策を急ぐ必要がある。そこが、今参院選で最も大事な論点ではないか。

 与野党は、子育て支援や最低賃金の引き上げなど現役世代を後押しする公約を競っている。消費税増税の是非など財源を含め、十分に見比べて一票を投じたい。

 もう一つ、「2040」で重要な点がある。かつて衝撃を広げた増田寛也元知事らによる「地方消滅」は、まさに40年の話だった。

 人口減が続けば、全国の市町村の半分は存続が危うい。その予測は、人口減に全く歯止めがかからぬ中では現実味を帯びてくる。

 岩手には、子どもがほとんどいない集落がかなりある。地域には、将来的な「消滅」の危機をひしひしと感じる人も多いに違いない。

 地方政策は今回、社会保障の陰に隠れた感があるが、地方の生活と人口減、社会保障は密接に絡む。各党は避けずに訴え、審判を仰ぐべきだ。