日本機械学会(東京都新宿区)は、花巻市東和町の田瀬ダムの「高圧放流設備」を機械遺産に認定した。本県で甚大な洪水被害を引き起こしたカスリーン台風(1947年)、アイオン台風(48年)水害をきっかけに、洪水に備え貯水量が少ない状態でも放流できるよう開発。発電、農耕や工業用水など多目的ダムの技術面での礎となった設備で、ダム設計技術の確立に寄与したと評価された。

 同ダムは41年に日本で初めて旧建設省直轄で施工開始したが、工事期間中に両台風が発生。同省は当初計画よりもダムの貯水量を増やすため、水深が深い場所から放流できる高圧放流設備の開発に取り組み、54年に完成させた。

 機械遺産委員会委員長の小野寺英輝岩手大理工学部教授(流体工学)は「高圧放流設備の設計方法を確立したことで、ダムの多目的化が進んだ。日本独自で造れるだけの技術移転の努力をした」と評価する。

 機械遺産は2007年創設。今回の認定で計99件となった。本県では08年に新興製作所(花巻市)の機械式通信機器群、16年に松川地熱発電所(八幡平市)が認定されている。