感謝、歓迎 動画で届け 27日釜石鵜住居復興スタジアムでPNC
「#Thank You From KAMAISHI」は、ラグビーワールドカップ(W杯)など特別なイベントが相次ぐ三陸・釜石地域から、東日本大震災後の支援に対する「ありがとう」の気持ちを世界に発信する活動。27日に釜石鵜住居復興スタジアムで開催されるラグビーのパシフィック・ネーションズカップ(PNC)日本対フィジー戦に向け、さまざまな活動が活発化している。今回は、釜石市の高校生らが立ち上げた「釜石7.27高校生感謝プロジェクト」とスタジアム清掃・除草ボランティア(ラグビーワールドカップ2019釜石開催実行委員会主催)の様子を紹介する。
高校生が企画、制作

「ぜひ釜石に遊びにきてください。待っています」「ラグビーW杯盛り上がっていくぞ!おー!」。制服や運動着姿の生徒たちが、元気よく呼び掛ける。同プロジェクトのフェイスブックやインスタグラムのアカウントは、高校生が震災支援への感謝や釜石の魅力などを伝える動画であふれる。
同プロジェクトは、東日本大震災で世界中から受けた支援に対する感謝を伝えようと、釜石の高校生らが立ち上げた。企画段階から動画制作、SNSでの発信まで全て自分たちで手掛けている。
発案者は、同市の甲子中出身で、長野県軽井沢町の全寮制国際高校に通う新田壮吾さん(18)と釜石高3年の洞口留伊さん。W杯釜石大会では、人口3万人の同市に1万6千人が訪れるが、スタジアムまでのアクセス方法など「人の流れ」に不安を感じていた、というのがプロジェクトの出発点だった。

その後釜石高3年の戸沢嶺さん、中村翔さん、堀切友裕さん、倉本康喜さんが運営メンバーに参加。「アクセス方法の発信の他に、高校生の自分たちができることはなんだろうか」と問題提起すると、震災支援への感謝や釜石を訪れる観光客への歓迎の言葉を発信する活動が始まった。
6月中旬の活動開始からわずか1カ月でプロジェクトの輪はどんどん広がり、現在は同校のほか、大槌高や仙台市の仙台育英高などの生徒100人以上が参加。動画のアップは50件を超えた。
運営メンバーはスタジアムへのアクセス方法の解説動画を制作しているほか、PNC当日は会場にブースを設けて感謝を伝えるイベントを行う予定だ。
洞口さんは「問題提起に対して、みんな自発的に動いてくれた。当日も千人規模のイベントを考えている。高校生だけでなく大勢に集まってもらい、釜石が一つになって感謝の気持ちを伝えるイベントにしたい」と力強く語る。
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清掃・除草にボランティア汗 マコウさん(元NZ代表主将)の激励も


W杯の前哨戦となるPNCを前に20日、釜石市の釜石鵜住居復興スタジアムで清掃・除草ボランティアが行われた。約150人が汗を流し、1万6000人の観客を迎える準備を整えた。元ニュージーランド(NZ)代表主将で2011年と15年のW杯を2連覇したリッチー・マコウさん(38)も2年ぶりに釜石を訪れ、ボランティアを激励した。
県内外から定員を上回るボランティアが朝から駆け付け、清掃用具を手にスタンドの清掃やスタジアム周辺ののり面の除草、トイレ掃除などに励んだ。
スタンドでは強い日差しが照りつける中、床をデッキブラシで磨いたり、座席を雑巾で一つ一つ丁寧に拭きあげていた。

午後からはラグビー界の“レジェンド”マコウさんも活動に参加。釜石を訪れるのは17年以来といい「完成したスタジアムを見ることができてうれしい。W杯開幕に向け、みなさん盛り上がっていると思う。ボランティア活動お疲れさまです」と話していた。
清掃ボランティアは、W杯前の9月14日と10月5日にも予定されている。