衆院選が政権の枠組みに直結するのに対し、参院選は時の政権を評価する「中間テスト」と位置づけられる。「1強」状態が続く現政権は、その意味を一層謙虚に受け止めなければなるまい。

 勝敗のカギを握るとされた改選数1の32選挙区で、自民党は前回2016年を1上回る22選挙区で野党統一候補に勝利した。しかし東北では、本県をはじめ秋田、宮城、山形各選挙区を落として2勝4敗。1勝5敗だった前回に続き、全国のブロック別で自民の劣勢が際立った。

 個別の事情はあるにせよ、政府、与党は東北の結果から今の政治が抱える課題をくみ取るべきだろう。東日本大震災からの復興を巡っては、20年度末で終了する復興・創生期間後の国の対応が一向に見えないことへの不安や不満が募る。大企業優先の景気対策の恩恵は、地方にあって実感が乏しい。

 東京一極集中の是正は掛け声倒れ。なかなか人が戻らない被災地復興を象徴として、安倍晋三首相が「国難」と認識する少子高齢化に伴う人口減の弊害は、ひとえに地方を直撃しているのが現状だ。

 8月に本格化する米国との貿易交渉は、先行きが見えない中で農産物輸入で米側に譲歩を迫られる可能性が取り沙汰されるのも、本県などには気掛かりだ。

 「老後資金2千万円」問題に象徴される将来不安、秋の消費税増税の適否など生活に密着する争点は多かったが、選挙区の投票率は48・80%と1995年参院選の44・52%に次ぐ低さ。衆院選を含め国政選で50%を割り込むのは、この2回だけという。本県の56・55%も、過去の参院選で下から3番目の低さだった。

 有権者は政治の安定を選択した-とするのが与党の見立てだが、「1強多弱」の下、政権運営こそ「安定」しても政治情勢は内外に不安定要素を多く抱えるのが現状だ。

 韓国との関係悪化で複雑化する近隣外交、近くは中東・ホルムズ海峡の安全確保に向けた有志連合構想への対応など、日本は待ったなしの課題に直面する。日本の国柄を左右する問題を前に、投票率が示す政治への冷めた目は国力の減退を予感させる。

 それは「多弱」を克服できない野党に多分に起因するにせよ、安倍首相が「力強い信任」と力説するほどに、国民は与党勝利を前向きに捉えてはいないだろう。

 首相悲願の憲法改正も、参院選に伴う世論調査では国民の関心の度合いは低い。「少なくとも議論すべきというのが国民の審判」と言うが、内外に課題山積の折、近視眼に陥ってはいないか。政権は国民と政治の距離を冷静に見つめてもらいたい。