令和になっても「1強」に陰りは見えない。参院選は、総じて与党の安定的な強さを示す形となった。

 自民、公明両党は、双方の幹事長が目標としていた改選議席の過半数を超えた。衆参とも巨大与党が政権を支える構図は変わらない。

 とりわけ1人区で自民は、西日本の選挙区を中心に野党を引き離した。与党としては、6年半に及ぶ安倍政権の実績が評価されたと強調したいところだろう。

 野党は、立憲民主党が議席を伸ばし、反攻の足場を築いた。伸び悩んだ国民民主党と明暗が分かれ、今後の野党共闘は立民中心の色を濃くしていくとみられる。

 岩手選挙区は激戦の末、野党統一候補の新人・横沢高徳氏が自民現職の平野達男氏を破った。知名度不足を解消して27年ぶりの自民勝利を阻み、野党地盤の強さを改めて見せつけたと言える。

 野党は秋田、山形などでも自民候補を下し、東北では共闘により与党と渡り合えることを示した。だが、全国では現政権による政治の「安定」が選択されている。

 街頭で安倍晋三首相が唱えたのは、まさに「安定」だった。民主党政権時の「混乱」を批判し、政治の安定が経済の強さをもたらす-と叫ぶのを定番としていた。

 だが「安定」か「混乱」かに訴えを単純化し、対立軸がぼやけたことは否めない。選挙戦が盛り上がりを欠いた原因は、政策の争点化を政権が避けたことにある。

 関心の高い「老後2千万円」問題にしても、政権は金融庁報告書を受け取らず「なかったこと」にした。年金財政検証の結果も選挙前に出さず、論戦を回避している。

 最低賃金の引き上げや低年金対策は、与野党でそう変わらない政策が並んだ。政権は選挙直前に就職氷河期世代の支援を打ち出すなど、野党政策の先取りまでした。

 周到に争点化の芽を摘み、政策で与野党の違いを見えにくくする。そうした政権の狙いが選挙への関心を薄れさせ、投票率の低さにつながったのではないか。

 国政選挙6連勝の安倍首相は、11月に在任が歴代最長になる。結果が求められるが、「安定」のために課題を先送りしたツケは大きい。

 参院選後に検証を先延ばしした年金財政は、今後の制度維持が一段と難しくなる。やはり選挙後に先送りした日米貿易交渉も難題だ。外交は対韓国、北朝鮮、ロシアのいずれも行き詰まっている。

 安倍政権は文書の隠蔽(いんぺい)や改ざんが問題となり、予算委員会を開かず議論を避ける姿も目立つ。「安定」を誇るのならば、在任最長の首相らしく堂々と政権を運営すべきだ。