日本政府が、半導体材料3品目の韓国向け輸出規制強化を発動してから2週間。韓国政府は態度を一層硬化させ、文在寅(ムンジェイン)大統領を先頭に対日批判を強めている。

 韓国最高裁で日本企業に損害賠償の支払いを命じる判決が確定した元徴用工訴訟問題では、1965年の日韓請求権協定に基づき仲裁委員会開催を求める日本側に対し、韓国政府は音無しの構え。回答期限は今日18日だが「特に回答しないだろう」(韓国大統領府高官)とすげない。

 日本側は、軍事転用も可能な半導体材料の輸出規制強化は安全保障上の見直し措置として、元徴用工訴訟への対抗措置ではないと主張するが、韓国側は額面通りに受け取らない。「判決確定への政治報復だ」として、世界貿易機関(WTO)への提訴も辞さない構えを見せている。

 日本政府は引き続き、8月にも輸出管理上の優遇国扱いから韓国を除外する方針。半導体材料3品目以外でも規制強化が進めば、韓国の製造業のみならず各種部品の調達、供給など世界の貿易環境に打撃となる懸念が高まる。

 今や両国民の往来は年間1千万人規模に拡大。日韓は、お互いが米国や中国に次ぐ主要な貿易相手国だ。両国関係のこれ以上の泥沼化は、お互いに首を絞め合う結果にしかなるまい。

 保守系の安倍晋三首相と革新系の文氏は、2017年5月の文政権発足直後から「考え方が違い過ぎる」といった懸念が日韓関係の専門家から指摘されていた。しばらく北朝鮮問題の陰に隠れていた両者の関係性が、慰安婦問題や元徴用工問題を機に一気に火を噴いた格好だ。

 参院選まっただ中の日本に対し、韓国も日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」を8月15日に控える。来年4月には文政権の行方を占う総選挙も予定される。ともに世論を強く意識する状況にあることが、問題を一層複雑にしているように映る。

 慰安婦や元徴用工を巡り、文政権が過去の国家間の約束をほごにする形で問題を再燃させたのは大いに疑問。一方で今回の輸出規制強化に当たっては当初、政府、与党筋から元徴用工問題との関連を示唆する発言が相次いだ。それが韓国の反日世論をたきつけているのは確かだろう。

 日本としては、決して相手の土俵にのるべきではない。両首脳の政治スタンスの違いを背景に、現状は両国の国民世論を巻き込む感情論に支配されつつある印象が否めない。

 事態打開には高度な政治判断が求められよう。北朝鮮への呼び掛けに倣い、安倍首相は前提条件なく文氏と向き合う必要があるのではないか。