盛岡市の女性から特命取材班に「近所の人が餌をやるため、野良猫が寄ってきて困っている」と情報が寄せられた。空前のペットブームの中、県内でも捨て猫などによる地域トラブルが表面化。国は動物愛護法を改正し、販売用の犬や猫に所有者の情報を記録したマイクロチップ装着を義務化する。保護団体からは「安易にペットを捨ててしまうマナーの改善こそ必要」という声も上がっている。

 情報があった閑静な住宅街では、動物のふんや尿などが地域の問題になりつつある。餌付けしている住民は取材に対し「捨てられて、食べ物がなくてかわいそう」と理由を語った。

 昨年度、県内の保健所が引き取った猫は662匹、犬が293匹で、前年度からそれぞれ138匹、25匹増加した。うち飼い主へ返還されたのは、猫がわずか1・9%、犬も54・6%にとどまる。

 国が3年以内に装着を義務化するマイクロチップは、直径約2ミリ、長さ約10ミリの円筒形。販売主の責任で、獣医師が注射器で犬や猫の皮膚の下に埋め込み、専用の機械で読み取ると飼い主が分かる仕組み。装着には数千円から1万円かかるが、販売者と飼い主のどちらが負担するかは決まっていない。

 震災時に犬や猫を診察し、被災者や被災動物への支援として無料のチップ装着活動に参加した岩手大農学部の佐藤れえ子教授(65)は「災害はいつ起きるか分からず、万一の備えとしてもチップは有効だ」と振り返る。

 だが既に飼っているペットへの装着は努力義務で、県によると18年度の県内の飼い犬の装着率は10・6%と、全国の17・4%を下回る。同市本町通の団体職員で愛猫家の田端美樹さん(52)も「家から出ないよう気を付けているし、目印の首輪も着けているから大丈夫」と装着の予定はない。

 チップ義務化には無責任な遺棄の抑止も期待されているが、保護猫の譲渡や飼育を行う同市菜園のNPO法人もりねこの工藤幸枝理事長(33)は「責任を持った飼い方の啓発がより重要だ」と訴える。