船に乗って半世紀。県内有数の景勝地、宮古市の浄土ケ浜で遊覧船の船長を務める坂本繁行さん(71)は15日、長きにわたり船員業務に精励したとして、「海の日」海事関係功労者国土交通大臣表彰を受ける。とっさの沖出しで東日本大震災の津波を免れた遊覧船の運航をいち早く再開し、被災地の観光振興に取り組んだ。坂本さんは、震災後支えてくれた多くのファンへの感謝とともに、喜びをかみしめている。

 14日午後、坂本さんは乗客約40人を乗せた遊覧船第16陸中丸の操舵(そうだ)室でかじを取り、幾度となく繰り返してきたコースを走った。

 震災の日は、桟橋に停泊中に大地震が発生。「津波が来る」と直感した坂本さんと機関長、甲板員2人が7分後に出航し、沖に出た。陸に戻れた13日まで2日間、ウミネコパンなどで飢えをしのいだ。

 3隻あった船のうち、被災を免れたのは第16陸中丸のみ。震災から4カ月余りの7月16日に運航を再開した。予想をはるかに超える乗客に坂本さんは「ただただ来てくれたことが本当にありがたくて」と回顧する。レストハウスや遊歩道は壊れたが、海から眺めた浄土ケ浜は変わらず美しく、前に進む力がわいてきた。

 坂本さんは「浄土ケ浜を好きでいてくれる人が全国にいる。何回も来てくれる人もいた。これからも安全運航で感謝を伝えたい」と今日もかじを取る。

 坂本さん以外の本県の被表彰者は次の通り。

 ▽船員関係 坂本武博(宮古市)菊田白世(陸前高田市)山崎一弘(釜石市)

 ▽港湾関係 佐藤孝(大船渡市)下舘俊雄(久慈市)前川正明(宮古市)

 ▽海をきれいにするための一般協力者 吉里吉里地区教育振興運動推進協議会(大槌町)