子ども食堂が全国で3700カ所を超えた。昨年比1・6倍で、調査団体によると過去最高の増加ペース。子どもを取り巻く環境をより豊かなものにしようと各地で奮闘が続いている。

 7月初めの土曜日、滝沢市の県立大キャンパスで社会福祉学部の学生らが子ども食堂を企画した。集まったのは幼児から高校生とその保護者ら約30人。年齢や発達などの違いを超えて誰もが楽しめる運動で交流し、お菓子作り、学食での昼食に笑顔を広げた。

 学生は今春ニュージーランドを訪れ、児童福祉の現場を視察した。帰国後の食堂開催を目指し、現地のイベントで資金提供を呼び掛けた。また研修を前に、インクルこども食堂(盛岡市)に参加し、運営やサポートのイメージを膨らませた。

 そのインクルこども食堂では大学や企業と協働し、さまざまな体験機会を提供。困難な状況を抱えている家庭に寄り添う事業にも力を注ぐ。学生が活動に関わることで、子どもは大学を身近に感じる。学生にとっては、地域課題に対する実践的な学びの場に。そんな好循環を生んでいる。

 4年の高橋和也さん(21)は「いろんな背景がある子どもたちが親以外の大人と遊んだり、多彩な経験や価値観に触れることは大事だと思う。自分も育成支援に携わる仕事がしたい」と話す。

 孤食解消やひとり親世帯支援などを目的に、全国に広がってきた子ども食堂だ。無料または数百円程度で食事を提供する以外は、実施主体をはじめ参加者層、学習支援といった事業の有無を含め、運営形態は実にさまざま。

 食堂の数そのものは、子どもが訪れやすいよう小学校区に一つが望ましいとされる。県内では3月時点で23カ所で、小学校数に対する充足率7・3%。13校に1カ所の割合となり、全国平均17・3%とは開きがある。

 後押しの動きは広がる。県は開設に向けたノウハウを盛り込んだ冊子を作成し、運営団体を支援する市町村に対して経費を補助。関心の高まりとともに食材提供する個人や団体もあり頼もしい存在だ。

 とはいえ運営団体の中には、継続に向けた活動資金やスタッフ、ボランティア確保に悩みを抱えている実態も浮かぶ。

 その中、埼玉県は県内約800の小学校区に、居場所の整備を促す。将来を担う子どもたちを誰も取り残さない方針だ。

 子どもの居場所づくり、地域の交流拠点として期待が高まっている。県内に受け皿がもっとあっていい。ブームで終わらせることなく、子どもを主役にした持続可能な取り組みに育てていきたい。