東日本大震災での東京電力福島第1原発事故から8年余が過ぎた。事故後の国政選挙では原発・エネルギー分野が大きな関心を集めたが、脱原発を争点に掲げた政党の消長も絡み、歳月を経るに従って選挙での注目度が低下してきた感が否めない。

 今参院選では各党の公約に考えが示されているが、年金問題などの陰に隠れて議論は乏しい。しかし、国の行方を左右するのがエネルギー政策だ。課題が山積する中、未来のあるべき姿や道筋について意見を戦わせてほしい。

 政府が昨年改定したエネルギー基本計画の「2030年の電源構成」比率は、再生可能エネルギー(水力含む)が22~24%で原発は20~22%。天然ガス、石炭、石油を合わせた火力全体は56%となっている。ただ、目標達成には壁がある。

 まずは原発だ。目標実現には30基程度の稼働が必要とされるが、老朽原発の廃炉を考慮すれば新増設の早急な検討が必要となる。しかし、公示前の党首討論会では新増設を「自民党、政府も現時点では想定していない」(安倍晋三首相)とし、他党は「認めない」立場だ。

 これまでに再稼働したのが9基にとどまり、17年度の電源比率が約3%であることを考えると、目標達成は現実離れしている。脱原発を打ち出している野党は、与党に対して積極的な論争を挑んでいいのではないか。

 現状を踏まえると、国際的使命である地球温暖化防止には、再生エネの大幅な拡大が必要だ。政府の基本計画は「主力電源化」する方針を示し、各党も推進を掲げる。

 ただ、課題は多い。固定価格買い取り制度が見直しとなる中で、どう事業への参画意欲を高めるのか。また、設備は太陽光に偏っており、他の電源開発が急務だ。送電網増強の必要性も浮き彫りになっている。欧米に比べ導入が見劣りする現状を打開しなければならない。

 公約には「地産地消」の文字も見られる。再生エネの特長の一つだ。ただ、地元資本の参画が十分ではないようだ。地域の住民が発電を手掛け、収益も得るケースが広がれば「地産地消」が促進されることになろう。そのための効果的な政策が望まれる。潜在力が高い本県にとっても関心が高い分野だ。

 温暖化防止のためのパリ協定が来年本格始動する。課せられているのは化石燃料依存からの脱却だ。しかし、現状は大半を火力に頼る。

 産業や毎日の暮らしに欠かせない電力。需要を満たす供給を維持しつつ、理想とする未来像にどう近づけるのか。各党は具体的な工程を提示してほしい。