東京一極集中の是正を掲げる政府の「地方創生」は、5年目となった。取り組みの第1期が終盤を迎え、来年度から新段階に入る。

 成果を探せば、人を積極的に呼び込もうとする自治体が増えたことだろうか。人口減に危機感を深め、移住の受け入れや個性的なまちづくりに知恵を絞っている。

 だが、この5年は合格点に程遠い。集中是正どころか、東京への人の流れは強まっている。東京圏は昨年、出る人より入る人が多い「転入超」が14万人に達した。

 政府は東京圏への転入超を来年になくすとしていたが、絶望的だ。しかも人の流れを詳しく見ると、深刻さが一段と浮かび上がる。

 地方から東京へ向かうのは若者が圧倒的に多い。さらに女性が多いのが特徴だ。一昨年の盛岡市は東京圏への転出超が千人に達し、やはり女性が男性を上回る。

 地方創生は、加速する日本の人口減を止めるのが出発点だった。人口減の要因は地方から若い女性がいなくなり、出生率の低い東京に集まるためと分析されている。

 さまざまな取り組みを進めても、女性をはじめ多くの若者は東京に就職し、定着していく。依然として地方の都市、職場が選ばれないのは皮肉な結果と言える。

 政府は東京圏から地方に移住・起業する人に最大300万円の支給を始めるが、効果は見通せない。地方の街・職場に魅力があってこそ移住の機運が高まるからだ。

 選挙戦で自民党は300万円の支援を強調している。だが、地方活性化策は自動走行、ドローン宅配により「最先端を行く地方」との抽象的なものにとどまった。

 一方、野党も東京一極集中の是正では一致した。立憲民主党や国民民主党は、自治体への「一括交付金」や農業戸別所得補償の復活など旧民主党の政策を訴える。

 それらも重要ではあろうが、いささか焦点がずれている。今求められるのは、東京から地方への人の流れをいかに太くするかだ。

 政府は地方創生の第2期の目玉に「関係人口」の創出を打ち出した。地域に住まなくても関わってくれる関係人口は大事だが、遠回りの策と言わざるを得ない。

 やはり国民が地方創生を実感するのは、魅力的な職場や街ができることだ。世界的にも異常なほど東京に集中する企業の地方移転、さらには政府機関の移転といった力強い策の実現が待たれる。

 企業移転は、税制の優遇で試みられてきたが、成果が伴わない。堂々と政策に掲げ、実行する力が求められる。困難な集中是正を断行できるか、政党の本気を問いたい。