スマートフォンなど情報メディアの多様化、ネット通販の普及などで、県内でも「街角の本屋さん」が徐々に姿を消している。こうした中、町に本屋のある幸せを考えようと9日、一関市大東町の大東高(鈴木勝博校長、生徒280人)で、直木賞作家の林真理子さん、芥川賞作家の綿矢りささんら4人による出張授業が行われた。生徒らは本との出会いの大切さや、本屋が残るありがたさを訴える作家らの話に熱心に耳を傾け、重要性を胸に刻んだ。

 出張授業は、同校の生徒らが昨年度、町に本屋のある幸せについて生徒会誌で特集を組んだのがきっかけ。近くの書店に取材したり、本屋が減ることに危機感を抱く林さんのコラムなどを引用し、まとめた。

 林さんを招き、直接話を聞きたいと考えた鈴木校長(59)が、日本文化の広がりを目的に著名な文化人が集まり活動するエンジン01文化戦略会議(東京)に出張授業を依頼して実現。同日は、同会に所属する林さん、綿矢さんのほか、社会学者の古市憲寿さん、新潮社出版部長の中瀬ゆかりさんがボランティアで同校を訪れ、全校生徒が2グループに分かれて授業を受けた。

 綿矢さんは「読書によって人生の答えが見えてくる。物語に触れることで自分の内面を育ててくれた」と話し、林さんは通っていた本屋が閉店したことを紹介した上で「好きな本を買い、好きな場所で読む幸せを味わってほしい」と呼び掛けた。

 出張授業を受けた同校生徒会長の佐藤翠(すい)さん(2年)は「本屋は好きな本や新しい文具を友達と共有できる接点だ。この学校には歩いて立ち寄れる本屋があり、改めて魅力を知った」と話した。