金融機関に勤める知人から電話が来た。久しぶりの音信だったが、相手は単刀直入にこう切り出した。「入っていた商品が満期になった。次の預け先は決まっているか」と。懐かしさは吹き飛んだ

▼日本郵政傘下のかんぽ生命とゆうちょ銀行による、保険や投資信託の不適切販売が発覚した。同じ保険なのに保険料が割高になるよう再契約させたり、商品の理解度をよく確認しないまま販売したり。〝被害者〟の多くは高齢者だった

▼経営トップははっきりと認めないが、問題の背景にはノルマがあろう。再契約できたなら、まだいい。健康悪化などで再契約に至らず無保険になった人も多いというから、状況は複雑だ

▼不動産向け融資の不正で信頼が失墜したスルガ銀行など近年、金融機関の不祥事は相次ぐ。民間銀行と政府お抱えの日本郵政では稼ぎ方が違うが、超低金利政策に経営が圧迫されているのは同じ。ノルマは必然的に厳しくなっていよう

▼この政策の大本である日本銀行の黒田東彦総裁は先月、さらに金利を下げる追加の金融緩和を「(物価次第で)ちゅうちょなく検討する」と述べた。知人らの無力感は想像に余る

▼不正は決して許されないが、政策のひずみは回り回って高齢者ら知識の乏しい金融弱者を痛撃している。誰のための経済成長か-。参院選が迫る。改めて考えたい。