激化する貿易摩擦を鎮められるか。世界経済を揺るがす大国の対立に、主要国の首脳は結束した姿勢を示せるか。視線が注がれている。

 20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が、きょう大阪で開幕する。初めての日本開催で、初の議長国を務める日本の責任は重い。

 最大の焦点は、互いに一歩も引かぬ米中貿易摩擦への対応だろう。報復が報復を呼ぶ関税の引き上げ合戦は、通商を萎縮させ、世界経済の失速要因となっている。

 サミットに合わせ、トランプ米大統領と中国の習近平国家主席の首脳会談が予定される。そこに耳目は集まるが、まずG20でどんなメッセージを発するかが大事だ。

 昨年のサミットでは、首脳宣言から「保護主義と闘う」との文言が初めて消えた。「自国第一」を掲げ、保護主義に傾くトランプ米政権への配慮がにじむ。

 「保護主義と闘う」は、先の財務相・中央銀行総裁会議でも声明に入らず、今回の首脳宣言に盛り込むのは絶望的となった。その文言を米国は決して受け入れまい。

 しかし、反保護主義はG20の使命でもある。11年前のリーマン危機で始まったサミットは、貿易の拡大で経済を立て直そうとした。それを放棄して存在意義はない。

 日本は、反保護主義の文言を使わない形で自由貿易の促進をうたう考えだ。主要国の指導者が結束し、米中に歩み寄りを促す姿勢こそG20には求められている。

 一方、トランプ政権が保護主義に傾くのは、グローバル化で疲弊する米国の地方の声だった。欧州、日本も地方では過度なグローバル化に疑念が深まっており、「自由」とのバランスも必要だ。

 貿易以外でも、さまざまな問題を巡り各国の主張には隔たりが大きい。議長として安倍晋三首相の調整力が問われることになろう。

 例えば世界的な課題となったデータ流通で、首相は「大阪トラック」と呼ぶ仕組みを打ち出す。国をまたいで自由にデータをやりとりするルールづくりを指す。

 だがデータ活用を進める米国、個人情報保護を重視する欧州の意見はかみ合わない。企業だけでなく、個人データを使われる生活者の立場に立った議論が望まれる。

 他の議題でも地球温暖化、海洋プラスチックごみ対策は、環境問題に後ろ向きな米国への配慮が目立つ。世界貿易機関(WTO)改革も各国の言い分はばらばらだ。

 食い違いを一つ一つ埋められるか。とりわけ米国に直言できるか。トランプ大統領との関係が良好な安倍首相に各国は期待する。そこにサミットの成否もかかると言える。