紫波町の歴史を学ぶ住民組織ひづめ館懇話会の設立10周年記念シンポジウム&サミットが7月7日、同町のナックスホールで開かれる。テーマは「平泉と並び立つ『比爪』の実像を探る」

▼奥州藤原氏の流れをくむ比爪氏は、同町の比爪館を拠点に栄えたと考えられる。近年、比爪関連遺跡の調査が進み、貴重な文化財が次々に出土。12世紀、平泉に匹敵する一大勢力だった可能性が指摘されている

▼チラシに掲載された出土品の写真に、現場を取材した時のことを思い出す。12世紀の遺跡はドキドキだった。前日、発掘担当者に電話し概要を聞く。担当いわく「やばいっすよ」。やばい。関連文献を探し予習する。明日、日本史が変わるかもしれない

▼発掘担当者が細心の注意を払って掘り出した出土品は、多くの研究者の議論を経て価値が見定められ、シンポなどの機会に住民と共有される。その「地域の宝」を、県立博物館の学芸員が無断で切り取っていた

▼この問題に関連して、日本文化財科学会が声明文を発表。不適切な科学調査の在り方を反省の機とし、研究倫理と見識を高めて文化財調査にあたるべく努力するとした

▼研究倫理、見識をどう高めるか。文化財科学の担い手は、発掘担当者の苦労、そして歴史文化を生かしたまちづくりに励む住民たちの思いを、まずは知るべきだろう。