今通常国会は表向き、極めて穏やかに幕を閉じた印象が残る。立憲民主党など野党5党が提出した内閣不信任決議案も、25日午後の衆院本会議で与党などの反対多数で粛々と否決されるなど、与党ペースの国会運営に野党が抗しきれなかったのが要因だ。

 不信任案は会期末の26日提出も想定されたが、28日から大阪市で開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に関連する外交日程への配慮を求める与党に、野党側が応じた格好。背景に、後半国会を通して政府、与党があおり続けた解散風の影響があるのは想像に難くない。

 衆院解散は実質的に首相の専権。衆参同日選の可能性も取り沙汰される中、解散の機運を自らたきつける可能性がある不信任案提出に、一時は見送りの動きも表面化するなど、衆院選の共闘態勢が整わない野党側の足並みはなかなかそろわなかった。

 立民の枝野幸男代表の趣旨弁明は約1時間。昨年の通常国会では衆院最長の2時間43分だっただけに、迫力不足は否めない。自民党が「不信任案提出は国会会期末の年中行事としか言えず-」(萩生田光一幹事長代行)などと余裕でかわしたのは、今国会のムードを象徴する。

 今年は統一地方選と参院選が重なる12年に1度の亥(い)年選挙の年。政府は今国会に当たり、選挙への影響を考慮して与野党が対決しそうな法案を極力排除するなど、提出法案を絞り込んだのも野党側の出ばなをくじいた。

 その結果、新規57法案の94・7%に当たる54本が成立。成立率は昨年通常国会を上回ったが、本数では2000年以降3番目の少なさという。

 記録的と言えば3月下旬に19年度予算が成立して以降、衆参両院で予算委員会が開かれなかったのは異例だろう。各党の論客がそろう予算委は国会審議の中心でテレビ中継もある。野党側の再三の開催要求に与党が決して応じなかったのは、参院選を前に野党に「見せ場」を与えたくないとの思惑含みに違いない。

 5月の日米首脳会談では、トランプ米大統領が日米貿易交渉で「8月に大きな発表ができる」と言明。北朝鮮の非核化や拉致問題、ロシアとの領土交渉など安倍晋三首相の外交姿勢、年金に関する「老後資金2千万円」問題など、国民の関心も高いと思われるテーマは引きも切らない。

 議論の素通りは与党の対応もさることながら、解散の可能性に腰が定まらない野党の姿勢も一因ではないか。

 与野党の別なく、解散風に浮き足立つ議員のさがを随所にうかがわせた今国会は、平穏どころか国権の最高機関としての機能不全を浮き彫りにしたと言えるだろう。