「ベンツの後部座席で泣く方が、自転車の後部座席で笑うよりいい」。最近の中国の若い女性の結婚観は、愛情よりお金重視という。いわて花巻空港からの直行便で訪れた上海で耳にした

▼上海市の常住人口は約2400万人。その3分の1は、地方からの出稼ぎ者で占められる。現地のツアーバスの男性運転手さんも、郷里に妻子を残して稼いでいるという。時に車中泊も辞さず仕事に励んでいた

▼通りすがりの旅行者にも豊かさを求める中国社会の熱気が伝わる。女性ガイドの月給は15万円ほどだが、毎月ボーナスがあるのが中国流。間近にする退職後は約500万円かけて夫と世界一周の旅に出るという

▼夏場は最もボーナスが多いらしい。警察官も摘発などに張り切る時期と聞いた。道すがら、至る所で交通取り締まりを目にしたのは、そのせいか。交差点の目立つ所に仁王立ちで、次々と違反車両を上げていた

▼都市部への人口集中は中国の国策だ。移動の車中から目を凝らせば、郊外には恐らく強制的に転居させられただろう廃屋が点在。代わりに建つ高層の集合住宅群のベランダというベランダに、洗濯物がはためく

▼中国にも年金はあるというが、いつ、どう変わるか分からないのが体制の常。「100年安心」が揺らぐ国の住人に、「愛情よりお金」という言葉が殊更切なく響く。