携帯電話の普及をけん引してきたNTTドコモの吉沢和弘社長(63)=岩手大卒=は、スマートフォンが生活の一部となり、あらゆるサービスを届ける基盤が整ったとの見方を示す。今後、第5世代(5G)移動通信システムの有効な活用を巡る開発競争が激化すると想定した。

―国内の携帯市場は飽和状態と言われる。戦略は。
 「戦略の軸を回線契約から会員向けサービスに切り替え、他社回線を含むスマホ利用者を広く取り込む。7千万人のドコモの会員から決済などの行動に関する膨大なデータが集まり、これらを他の企業のサービスと結び付ける。今後はデータを活用したビジネスの競争が激しくなる」

 ―5Gによって生活はどう変わるか。
 「スマホ単体だけでは5Gの性能を持て余す。高精細の映像を映し出すディスプレーや仮想現実(VR)に対応した眼鏡など、スマホを中心とした周辺機器が充実してくる。通信量ごとの従来の単価では消費者の負担が増えてしまう。利用者が高く感じない料金体系を工夫する必要がある」
 ―産業への活用も期待される。
 「スポーツ中継などで移動式のディスプレーへの動画伝送や救急搬送車両からの画像診断など、当面は映像関連のサービスが高まると考えている。ただ、5Gの性能の最適な活用方法は各社がまだ開発を模索している。幅広い企業と連携を深め、多くの具体策を打ち出すことが重要だ」

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 吉沢 和弘氏(よしざわ・かずひろ)岩手大卒。1979年日本電信電話公社(現NTT)。NTTドコモ副社長などを経て、2016年から社長。