三陸鉄道の全線開通や釜石魚河岸にぎわい館「魚河岸テラス」のオープン、今秋のラグビーワールドカップ(W杯)開催など、釜石市は最近明るい話題が多い。

 中でもラグビーW杯は、東日本大震災で大きな被害を受けた同市鵜住居(うのすまい)町で試合を行い、世界が復興の歩みに注目する一大イベント。日に日に高まる市民の熱に、「ラグビーのまち」の底力を感じる毎日だ。

 現地で取材する身として、大会期間中の最高潮の盛り上がりを「余すことなく伝えたい」と気合が入る。一方、大会を一過性のイベントで終わらせず、中長期的な視点で生かそうとする動きにも注目している。

 釜石商工会議所は外国人観光客を意識し、地元のラーメン店を紹介するパンフレットに英語表記を加えた。W杯を観光戦略の見直しの機会にしようとする動きは徐々に広がっている。

 一方、4月に示した大会期間中の大規模避難計画は改めて防災を考える契機だ。地元住民が「計画には入っていないけれど、使える経路はまだある」と訴え、自身の被災経験を未来に生かそうと模索する姿が印象に残る。

 近い将来「W杯のレガシー(遺産)は何か」という議論が起こるはずだ。そこまで追い続けてこそ、W杯取材の完結だと肝に銘じている。

(釜石支局・林昂平)