痛ましい事故が続く。滋賀県大津市で8日、散歩中の保育園児の列に車が突っ込み、16人が死傷した。それから1週間後の15日には、千葉県市原市の公園に車が進入し、遊んでいた園児をかばおうと女性保育士が大けがを負った。

 散歩や広場での遊びを通して、身近な自然や地域の暮らしと触れ合う。幼い子どもたちに豊かな体験をもたらすのが園外活動だ。移動を含め、いかに安全を確保していくか。事故をきっかけに対策強化が求められている。

 車の衝突に歩行者が巻き込まれるケースはこれまでにも度々起きている。文部科学省は、京都府で2012年に集団登校中の小学生らに軽乗用車が突っ込んで10人が死傷した事故を受け、全国の通学路を対象に緊急点検を実施。危険箇所で対策が講じられてきた。

 一方、通学路以外の保育園や幼稚園の散歩経路などは対象になっていない。引率する保育士らが見守りに細心の注意を払っても、突然の事故を避けきれない場合もある。園外に出れば危険が増すのは確かだろう。

 盛岡市の中心部にある認定こども園盛岡幼稚園(坂本信行園長)は、季節折々に園児が近くの公園などへ散歩に出掛ける。周辺は車の往来も激しく、歩道を行き交う自転車なども多い。そうした環境で自分の身を守る交通ルールを覚えるのも目的の一つだ。

 今回の事故を機に、園独自のマニュアルを見直すことにした。散歩コースにある段差など注意を要する場所の有無や、横断歩道の青信号の時間などを改めて確認し、マップを作成する予定という。

 坂本園長は「車などでの送迎が増え、歩く力が弱くなっている印象もある。散歩や地面に触れる屋外での遊びには運動能力だけでなく、子どもの発達に大きな効果がある。職員で情報共有しながら、安全に配慮して取り組んでいきたい」と語る。

 滋賀県や大津市は、保育園などの散歩コースの安全確保に向けて動きだした。また、石井啓一国土交通相は、移動の際の経路の安全確保へ、全国的な点検に着手したと明らかにした。警察や自治体と連携する。

 交通事故はどこでも起こり得る。地域の実情に応じて危険箇所を洗い出し、ガードレールや車止めの設置、スクールゾーン適用などの対策を検討する必要があるだろう。

 そして、運転者自身の注意が求められるのはもちろんだ。わずかな気の緩みや判断ミスが事故を招きかねないことを肝に銘じたい。

 悲劇を繰り返さないように。子どもがのびのびと遊べる環境に向けて、早急な対策が望まれている。