一関市と宮城、秋田両県にまたがる栗駒山(1626メートル)は、きょう山開き。岩手では須川岳、秋田では大日岳、宮城では駒ケ岳と、3県それぞれ異称を持つ栗駒国定公園の主峰はメインの須川コースが通行できないまま迎える登山シーズンの幕開けだ

▼「見えざる敵」が登山道に立ちふさがった。コース途中の昭和湖付近で昨年観測された基準値を上回る火山ガス。先日「立ち入り禁止」の看板を設置する県自然保護課の職員に同行し、閉鎖区間手前の苔花台(たいかだい)まで残雪を踏みしめた

▼登山口の須川温泉付近は今も3メートル以上の雪が積もり「なだれ注意」の呼び掛けも、あながち大げさではない。所々にツクシやフキノトウが顔をのぞかせ、下界とは約2カ月、季節が違うようだ

▼この日、基準値を超えることはなかったが、火山ガスは、なかなか厄介だ。誰でも危険と分かる噴火と異なり、目に見えないだけではなく、臭いを感じないこともある

▼いつ解除されるとも知れぬ規制は、毎年の雪害を乗り越えて開業を迎えたばかりの温泉旅館にとっても大きな痛手だろう

▼毎分6千リットル湧き出る豊富な湯は川となって流れ、行き着く足湯では、温泉藻イデユコゴメが生命力を誇るようにエメラルドグリーンに輝く。安全第一に登山を楽しんだ後は、ひとっ風呂浴びて、もう一つの栗駒の恵みを満喫したい。