必要なモノだけに囲まれたシンプルな生活をしてみたい。洋服や食器などは最小限に、上手に使い回す。そんな工夫を凝らした暮らしを実践する人を雑誌や本でよく目にするようになった

▼家族が増えるとともに荷物が空間をふさいでいく。断捨離を、と意気込んだ。まずはクローゼット。「もったいない」「やせたら、また着よう」と思い、何年もそのままの服。迷いを振り払い、だいぶ処分した

▼入ってくる不要なモノを断ち、捨て、執着することから離れる。断捨離とは、ヨガの哲学を元にした考え方という。単なる片付けにとどまらない。重荷から解放され、快適な暮らしをもたらす効果もあるようだ

▼その都度洗わないと困るはめになったが食器も減らした。わずかだが空いていくスペースが心地いい。でも、子どものランドセルや、カタカタと呼ばれる赤ちゃん用手押し車…。思い入れのある品は処分し難い

▼収納や整理整頓術を伝授するノウハウ本が店頭に並んでいるのを見ると、苦手な人も多いのだろう。モノが増えるほど、行動に移す心理的なハードルは高くなる。離れて住む老親の家の片付けも悩ましい限りだ

▼たくさんの思い出に囲まれた生活。動けるうちにと整理する人もいるが誰もができるとは限らない。少しずつ手放していくことで、心のゆとりを生み続けていきたい。