空き家の増加に歯止めが掛からない。空き家に加えて空き地が地域に広がることは、社会基盤維持や防災面で大きな支障を生むことになる。

 放置物件を抑制しつつ、家屋の活用や再生、土地の有効利用をいかに図れるかが地域の今後を左右する。対策は待ったなしであり、問題の先送りは解決を困難にする。

 総務省の住宅・土地統計調査(速報値)によると、全国の空き家数は2018年10月1日時点で846万戸と過去最多で、5年前に比べ26万戸増えた。住宅総数に占める空き家率13・6%(前回調査比0・1ポイント増)も過去最高だ。

 本県は9万3千戸で、1万7千戸増。空き家率は16・1%(同2・3ポイント増)で、東北では最も高い。このままでは5戸に1戸が空き家となる日も遠いことではあるまい。

 現状に至った要因には、新築の供給が過剰な上に、住む人がいなくなった住宅の解体・流通が進んでいないことが挙げられる。核家族化の中で高齢者世帯の持ち家が引き継がれなければ空き家と化す。今後も大量に生まれる可能性がある。

 国土交通省の実態調査によると、空き家のままにしておく理由(複数回答)は「物置として必要」「解体費用をかけたくない」「特に困っていない」「将来、自分や親族が使うかも」「仏壇など捨てられないものがある」などだ。

 それぞれの事情は理解できる。ただ、空き家は年数を経るに従って価値が減少することを考えれば、先送りは得策ではないだろう。

 行政は手をこまねいて見ているわけではない。県内でも自治体が空き家バンクを設けて利用を促している。また、民間でも大規模改修によってさまざまに活用を図る取り組みが見られる。使える資産は有効に活用したい。

 米国で設立が広がるランドバンクも参考になる。放置物件の再生を図る公的機関。人口や世帯の減少が著しいデトロイト市のランドバンクは、連邦からの補助金で空き家を解体した空き地などを大量に保有し、隣の住人に優先的に空き地を譲渡する仕組みがある。ただ同然と言っていいほどの格安での譲渡という。

 空き家や空き地が虫食い的に増えることは、地域社会に無駄な空間をつくる。知恵を絞って「土地のリサイクル」を図る必要がある。

 行政の施策強化は欠かせない。一方で、一人一人が当事者意識を持ちたい。ある日突然、親やきょうだい、親類が持っていた不動産の相続問題に直面するかもしれない。隣や近所の空き家が時がたつにつれて危険化するかもしれない。「その時」にどうするか。住民として、地域として関心を持ち、備えたい。