「ようやく校舎の目の前に校庭が復活しました」。今春、支局に着任してすぐ1通の取材依頼が届いた。陸前高田市の高田一中生徒会が「校庭開き」を行うとの内容。かつての記憶が脳裏に浮かんだ。

 東日本大震災発生直後の2011年3月、内陸支局から応援取材に入り、同校の仮設住宅着工の記事を書いた。練習場所の制約がありながら活動する運動部も取材した。

 当時は仮設住宅がここまで長く残ると思わなかった。校庭再開をうれしく思うと同時に、8年という歳月の重みを痛感した。

 校庭開き当日。生徒たちの笑顔が印象的で「新しい校庭で部活を頑張る」との決意表明も胸に響いた。震災当時の校長は「学校は地域に支えられ存在する。震災後は学校が地域を支え、一緒になって生活してきたんだよ」と語り掛けた。

 部活中、生徒が住民の車を破損させた時は「私たちがここにいるのが間違い」と謝られたという。住民は複雑な思いを抱いてきただろうが、誰も悪くない。一つ確かなのは、校庭という空間が生活再建の大切な土台になったということだ。

 令和が始まり、18日には同校校庭で9年ぶりの運動会もある。新時代を担う子どもたちの元気な声は、仮設住宅から一歩を踏み出した人たちにきっと届くだろう。

(向川原成美)