秋に行われる陸上の世界選手権20キロ競歩の代表が先ごろ発表された。日本選手権を制して既に出場を決めていた本県出身の高橋英輝選手らが東京五輪を目指して競う。日本人最上位でメダル獲得なら五輪切符だ

▼競歩の定義は「両足が同時にグラウンドから離れることなく歩くこと」。判定は審判の目視で、ビデオや写真は参考にできない。微妙な場合もあるが、「審判との闘いでもあり、それも楽しい」とテレビ番組で選手が打ち明けていた

▼歩くとは、走るとは-。国立科学博物館(東京)で開催中の「大哺乳類展2」に説明がある。陸上での低速移動で四肢のうち常に1本以上で支えるのが「歩行」で、速度を増して体が宙に浮く時が周期的に出現するのが「走行」だ

▼哺乳類は生き残り作戦として移動運動の能力を発達させた。餌や獲物を見つけるため、オスとメスが出会うために。両生類や爬虫(はちゅう)類と比べると歩行の発達がよく分かる。そして走行は哺乳類の特長だ

▼人類が地球上で繁栄しているのも高度な移動能力による。ただ、文明の利器に頼り、移動運動が少なくなっていないか。積極的な散歩やランニングで健康づくりに励みたい

▼ところで動物においては「低速移動」の歩行だが、わざわざその条件下で速さを争う競歩は人間ならではだ。スポーツを編み出す知恵は、素晴らしい。